Mar 07 (newsonjapan.com) - 世界のカジノ市場は2021年の2874.3億ドルから2022年には4589.3億ドルに成長すると推測されています。
カジノが解禁されていない日本でもようやく、IR法の施行によりカジノ開業に向けて動き出しました。これまでの日本のIR開業への動きと、日本人にとってのカジノゲームについて解説します。
日本でのIR開業に向けての流れ
日本でのIR開業によるカジノゲーム解禁までの流れを解説します。
始まりは「お台場カジノ構想」
IRの誘致を表明していない東京都ですが、実はカジノ開業を最初に提案したのは東京都の故石原慎太郎都知事(当時)です。1999年に故石原慎太郎氏が都知事に立候補した際に、カジノ実現を公約に入れていたのです。
都知事になってからは「お台場カジノ構想」を打ち出し、1万人の雇用創出効果があることをアピールしました。この時は純粋に公営ギャンブルとしてカジノゲームを解禁することを目指しており、結果として国の法整備を待つ中で法改正は実現せずにこの構想は立ち消えとなったのです。
シンガポールの成功を背景にIR法案が成立
日本とほぼ同時期にカジノ解禁を目指したシンガポールは、「IR」という形でカジノを開業しました。その結果、一大観光スポットとなり2017年時点で2つのIR施設での収入は合計およそ5384億円となっています。カジノゲームによる収益だけでおよそ4170億円を生み出しています。
(出典: 「アジア近隣諸国をはじめとする世界各国の IR における経営戦略等 及び再投資に関する事例調査報告書」)
この成功を目の当たりにして日本でも、IRによるカジノ解禁を目指すことになります。2016年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)」が成立し、2018年7月には「特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)」が成立しました。
これによりようやく日本でもカジノゲーム解禁への道が開け、あとはIR施設を整備し運営する自治体を決めるという段階にきています。
日本でのIR施設は最大3カ所に
2022年3月時点でIRの誘致を表明しているのは、次の3つの自治体です。
- 大阪府・市
- 和歌山県
- 長崎県
ほかに神奈川県横浜市、千葉県千葉市、北海道苫小牧市・留寿都村も名乗りを上げていましたが誘致表明を中止あるいは撤退しています。
大阪府・市と和歌山県、長崎県は事業者の選定が終わり、整備計画案の説明などが行われています。
日本人とカジノゲームの関係
IR施設は海外からの観光客誘致が目的となりますが、日本人もカジノ施設でカジノゲームを楽しめます。そこで気になるのが、日本人はどの程度カジノゲームに馴染みがあるのかということです。
日本に根付くパチンコ文化
日本で普及しているギャンブルといえば、競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルや宝くじ、サッカーくじ(toto)、そして、パチンコです。カジノゲームに見られるカードゲームなどはほとんど普及していません。
特にパチンコは一大産業と言ってもよく、2022年1月末時点で全国に7544店舗あります。(出典:「全日遊連 加盟店舗数」)
ただしパチンコはギャンブルとして認められているわけではなく、「三店方式」を利用することで出玉を換金できるようにしています。「三店方式」とは、パチンコ店と景品交換所、景品問屋の3つの業者が「特殊景品」を使用することで違法性を問われることなくパチンコ玉を換金できる仕組みです。
また、近年はスポーツ競技に賭けるスポーツ賭博も解禁の流れが見られており、日本でのギャンブルシーンも大きく変わる日もそう遠くはないかもしれません。
実質的にカジノゲームでのギャンブル行為は行われている
公営ギャンブルでもパチンコのような違法性を問われない形でも日本ではカジノゲームは行われていませんが、実は多くの人がカジノゲームを楽しんでいます。それは海外で運営する「オンラインカジノ」を利用しているからです。
推計によると年間で200万人がオンラインカジノを利用し、海外に流出している賭け金は数百億円とみられています。
さらにこのオンラインカジノを使って違法に営業している「インカジ」を利用する人も後を絶ちません。もちろんインカジは違法であり、その経営者も利用者も賭博罪で逮捕されます。一方でオンラインカジノを個人で楽しむことは合法でも違法でもない「グレーゾーン」にあると言われます。
すでにオンラインカジノを利用している人にとってはカジノゲームには慣れているので、IRが開業したら気軽に足を運ぶようになるかもしれません。
日本のIR開業によるメリットとデメリット
日本でIRが開業されれば、オンラインカジノ経由によるお金の海外流出もある程度は防げるかもしれません。そのほか、日本でIRを開業するメリットとデメリットを説明します。
メリットとして大きいのは経済効果です。たとえば大阪府・市は2021年12月にまとめた整備計画案で経済波及効果は年間1兆1400億円としています。
また雇用創出や社会保障の財源確保といったメリットも考えられます。対してデメリットとして考えられるのは、治安の悪化とギャンブル依存症の増加です。IR誘致を表明する自治体の地域住民から反対されるのは、これらが理由となります。
そこで「ギャンブル等依存症対策基本法」が2021年9月に施行されましたが、パチンコもギャンブルの対象と定義されたことでパチンコ業界にも規制強化という形で影響が及ぶと考えられています。